医療の進歩により、在院日数は大幅に減少しており、患者が主体的に医療を選択する時代へと変化している。そんな中、国は診療報酬の改定とともに患者が状態に見合った病床で、その状態に相応しい医療を受けることができるような制度改革を進めているのだ。
具体的には、急性期医療を中心に人的・物的資源を集中投入しながら、入院期間を短くして早期の在宅復帰、あるいは社会復帰を目指すというものである。また、受け皿となる地域病床や在宅医療・介護の充実を図ることの重要性を説いている。
この時、機能分化が進む病院の機能に相応しい人員体制を整備することが不可欠であり、病院のみならず地域の診療所も取り込みながら有効に活用することが必要としたのだ。
しかし、そうはいっても医療の現場において、高齢化や慢性疾患患者の増加、診療報酬改定により医療依存度の高い療養者が増加したことによりもたらされた問題をクリアカットに解決することは簡単ではない。再入院を含む受診率の増加や転院先の確保の困難さ、在宅医療ニーズの増加に伴う応需能力の乏しさなど課題は山積みだ。
対策としては、状態に相応しい医療を受けられることを目指し、退院支援センターの設置や退院支援に関わる看護師の配置、看護師とメディカルソーシャルワーカーとの連携などの取り組みが行われている。この動きは、医療政策に沿ったものとして当然の成り行きであり、システム自体はとても歓迎すべきものだが、忘れてはいけないのは再入院や入退院を繰り返さぬよう日々看護師たちが実践している看護ケアにあるのだ。