高齢入院患者の誤嚥性肺炎を防止するには、摂食嚥下機能の評価や食事形態の選択だけでなく、さまざまな予防策が必要である。
摂食嚥下障害の場合、誤嚥や窒息、低栄養や脱水症のハイリスク者でもあるため、NSTのよる栄養管理も必要になる。また、口腔ケアによる不顕性誤嚥予防、呼吸ケアとポジショニングによる予防や運動・精神機能に対するリハビリテーションなど包括的な介入が大切だ。
これらは、看護職だけでなく、多職種での協働や専門医療チームによる介入が重要になる。多職種で情報を共有しながら患者状態のアセスメントやケア内容を検討することが大事だ。看護師は、標準的なケアの実践だけでなく、多職種が介入できるようコーディネートすることや、本人やその家族の指導や教育を行う役割もあり、その役割を発揮するためには、看護師のスキルアップや教育体制づくりも必要である。
基本的に、日常的に患者のケアを行う存在のため、摂食嚥下障害者の食事介助や誤嚥防止ケアを実践するスキルは、確実に身につけておかなければならない。標準的なケアを提供するための教育体制として、摂食、嚥下障害看護認定看護師や医師や管理栄養士など多職種で構成される栄養サポートチームNST、摂食嚥下チームなどのリンクナースを中心に、摂食嚥下機能の評価方法や食事介助技術などについてスタッフ教育が行われている。また、リンクナースには、多職種で協働するためのコーディネートや体制づくりの役割が課せられているのだ。